日本では、働き手の中心となる世代が長期的に減少していきます。国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口(令和5年推計)」は、2020年に約1億2,615万人だった総人口が、出生中位・死亡中位の仮定では2070年に約8,700万人になると推計しています。将来推計は前提条件に基づく見通しですが、採用の難しさを一時的な問題だけとして捉えない理由になります。
人手不足への対応を考えるとき、必要なのは「何人採るか」だけではありません。仕事を分解し、誰が担うべきか、どこを技術で支えられるかを見直すことが出発点になります。
外国人材:力を発揮できる環境づくりへ
厚生労働省によると、2025年10月末時点の外国人労働者数は約257万人で、届出制度の開始以来、最多となりました。採用を決める前には、担当業務と在留資格との適合、雇用条件、就労開始後の支援体制などを確認する必要があります。
技術者を迎える場合も、肩書だけで判断せず、実際の職務内容や本人の経歴、雇用契約を整理することが大切です。採用後には、日本語での情報共有、業務上の教育、相談しやすい体制も欠かせません。
AI:情報を扱う仕事の負担を減らす
生成AIなどは、文書のたたき台、情報の整理、問い合わせの分類、社内知識の検索などを支援できます。ただし、出力の正確さの確認、機密情報の扱い、判断の責任までAIに任せられるわけではありません。どの情報を入力できるか、誰が結果を確認するかを決め、小さな業務から効果を確かめたいところです。
フィジカルAI:現実の作業を支える技術
AIがセンサーなどから周囲の状況を把握し、ロボット等の動作につなげる「フィジカルAI」も注目されています。経済産業省は、製造、小売、介護など人手不足が課題となる現場でのAIロボティクス活用を検討しています。
物の運搬、設備の点検、作業の補助などでは、現場の動きを支える余地があります。ただし、導入には安全性の確認、人との役割分担、事故時の対応、保守、取得データの扱いを詰める必要があります。技術の可能性と、個々の現場で実際に使えるかどうかは分けて評価するべきでしょう。
三つの手段を、仕事の設計から考える
外国人材、AI、フィジカルAIは、同じ仕事を奪い合う選択肢ではありません。専門知識や対人対応には人の力が求められます。反復する情報処理にはAIが役立ち、運搬や点検などの一部にはロボットが役立つ可能性があります。
まずは、①人が判断する仕事、②AIが補助できる仕事、③現場の機器が担える仕事を洗い出す。そのうえで、必要な採用、教育、システム導入、契約や手続きを考える。こうした順番が、限られた人材の力を生かすことにつながります。
行政書士高橋技術法務オフィスでは、技術と制度の両面から、外国人材の受入れに関する書類や、技術導入に伴う契約・事業運用の整理についてご相談を承ります。状況に応じて、適切な専門家との連携も含めて検討します。

