ロケットが戻ってきて、再び宇宙へ向かう。SpaceX(スペースX)が進める再使用技術は、宇宙ビジネスの可能性を広げています。宇宙への輸送がより身近になれば、その先には衛星通信、地球観測、部品製造など、地上の企業にも関わる仕事が増えていくと考えられます。では、どのような事業が育ち、行政書士は何を支援できるのでしょうか。
ロケットの進化が、事業の前提を変える
SpaceXはFalcon 9で第1段の回収・再飛行を重ね、さらにStarshipでは機体全体を迅速に再使用する輸送システムの実現を目指しています。注目すべきなのは、大きさや迫力だけでなく、繰り返し使うことで輸送の費用や頻度を変えようとしている点です。
大型輸送と再使用が安定して実現すれば、衛星の配備・更新や宇宙での実験の選択肢が増えると期待されます。ただし、Starshipの開発目標と実現済みの能力は分けて見る必要があります。将来の輸送価格や運航頻度を確定した前提にせず、開発状況を見ながら事業を組み立てることが大切です。
今後、どのような宇宙ビジネスが広がるか
1.衛星データを、地上の仕事に生かす
農作物の生育、森林の変化、災害時の浸水状況などを衛星で捉え、現場の判断に役立てるサービスです。観測データにAIや現地の情報を組み合わせれば、「画像を売る」だけでなく、「どこを調べ、いつ対応するか」を提案する事業へと広がります。
2.通信や設備を支える
衛星通信の利用が広がれば、地上設備や端末の設置・保守、利用者向けシステムの開発などにも機会が生まれます。衛星やロケットの部品、材料、試験装置、ソフトウェアを供給する企業にも、自社の技術を生かす余地があります。宇宙分野で求められる品質や納期に対応できるかが参入の鍵になります。
3.宇宙で活動するためのサービスをつくる
長期的には、軌道上での衛星点検・補給、宇宙ごみへの対応、月面での輸送や設備整備などの発展も期待されます。こうした分野では、技術の成立に加え、顧客の需要、安全性、制度、資金回収まで見通す必要があります。地上のデータ活用と、開発期間の長い宇宙インフラ事業では、事業化までの時間も異なります。
行政書士は何を支援できるか
必要な許認可を、事業の内容から整理する
日本での事業では、人工衛星等の打上げや人工衛星の管理に関する許可、衛星リモートセンシング装置の使用許可などが検討対象になります。行政書士は、誰がどこで何を行うかを確認し、関係する制度や申請先を整理して、申請書類の作成・提出手続きを支援できます。
既存の衛星データを利用する事業と、自ら衛星を管理する事業では、確認する手続きが異なります。データの種類や取扱方法によっては、衛星リモートセンシング記録に関する規制の確認も必要です。技術担当者と連携し、事業内容に沿って許認可の要否を見極めることが出発点です。
共同開発やデータ利用の約束を、契約書にする
共同開発の役割と費用、成果の帰属、秘密情報の管理、衛星データの利用・再提供の範囲などを明確にします。打上げの延期やデータの欠測が起きた場合の対応も、事前に合意しておきたい点です。行政書士は、合意内容を契約書に整理することで、認識のずれや将来のトラブルの予防を支援します。
参入時の事業計画や補助金申請を支える
自社の技術を誰に提供し、どのように収益につなげるかを整理し、対象となる補助金等の公募要件に沿った申請書類の作成を支援します。採択後の報告まで見据えた準備も重要です。制度ごとの応募資格や代理の可否を確認し、登記・税務・特許出願・紛争対応などは司法書士、税理士、弁理士、弁護士と連携します。
例えば、衛星データで農業を支援するなら
地域のIT企業が、衛星データを使って農地の状態を知らせるサービスを始めるとします。まず、データ提供元との利用条件を確認し、解析結果を顧客へ提供できる範囲を整理します。そのうえで、サービスの内容、更新頻度、精度の限界、欠測時の対応を利用契約にまとめ、実証に使う補助金の要件も確認します。
解析技術を磨く仕事と並行して、こうした手続きや契約を整えることで、実証から継続的なサービスへ進めやすくなります。行政書士高橋技術法務オフィスでは、宇宙分野への参入を検討する企業の構想を伺い、技術と法務の両面を踏まえて、必要な書類や手続きを整理するところからお手伝いします。
公式情報・参考資料
技術開発や制度は更新されます。以下の公式情報を参照し、具体的な事業では最新の法令・施行日・申請要件をご確認ください。
SpaceX:Falcon 9
SpaceX:開発の方針・Starship
JAXA:衛星利用分野
JAXA:宇宙と地域産業の連携
内閣府:宇宙政策の許認可・申請手続き
日本行政書士会連合会:行政書士の業務

